東ゲートを抜けると、正面に巨大な構造物があった。
大屋根リング。
設計は建築家・藤本壮介。建設前からあちこちで話題になっていたやつだ。全周約二キロ、幅三十メートル、高さ最大二十メートル。世界最大の木造建築物として、ギネスに認定されたと由美が説明してくれた。健二は「へえ」と言いながら上を見上げた。
木の色だった。
コンクリートではなく、木の茶色が空に向かって伸びていた。その質感が、健二が「万博」と聞いて思い浮かべていた未来的なイメージとずれていた。悪い意味ではなく、なんというか——柔らかかった。
「リングの上、歩けるらしいで」と由美が言った。「エスカレーターで上がってみよ」
リング上部は遊歩道になっていた。幅は人が三人並んで歩けるくらい。左右に手すりがあり、外側は会場全体が見渡せた。
「うわ」
健二は立ち止まった。
敷地の広さが、やっと体感として入ってきた。東京ドーム三十三個分。数字で聞いても実感がなかったが、リングの上から見ると——本当にでかかった。いくつもの建物が、緑と広場の中に点在している。それが地平線まで続いているように見えた。
「パパ、写真!」
さくらが手を引っ張った。健二はスマートフォンを出して、さくらと由美を撮った。二人の後ろに、会場全体が広がっていた。
「ええ写真やな」と健二は言った。
それは本当のことだった。