夢洲日和 · Story 02「のぞみで来ました」

前の晩・梅田

2025年5月(土曜日の夜)、新大阪〜梅田

品川を13時02分に出たのぞみは、新大阪に15時27分に着いた。

田中悠は新幹線の座席から立ち上がりながら、隣の木村彩に言った。「2時間25分か。思ったより早いな」

「いつも言うよね、それ」と彩が笑った。

二人で大阪に来るのは三年ぶりだった。前回はコロナ前で、まだ付き合いはじめたばかりだった。悠は30歳、彩は27歳になっていた。

ホテルは梅田のビジネスホテル。素泊まり一室12,000円。「明日の万博に備えて早めに寝よう」と言っておきながら、チェックインしてから結局なんばまで出た。

道頓堀の橋の上で、悠はたこ焼きを食べた。一皿650円。彩は「これで万博のたこ焼きの比較ができる」と言いながら食べた。

ホテルに戻ってから、二人でスマートフォンを並べて万博のアプリを開いた。

「イタリア館……2ヶ月前予約の抽選、当然落ちてるよ」と彩が言った。「しょうがないけど」

「ガンダムパビリオンは当日の朝に予約枠が出るらしい」

「どんな仕組みなのそれ」

「ガンダム方式って呼ばれてるらしい。朝早く予約とれるかやってみよう」

「フランス館行きたい。ディオールのドレスがあるやつ」

「ちゃんと調べてんじゃん」

「事前にリサーチするのは仕事と同じでしょ」

翌朝は六時に起きることにした。

Next翌朝、桜島駅からシャトルバスで西ゲートへ。9時半、ポルトガル館のエッグタルトはまだあった。アメリカ館で「月の石」を見た。1970年の万博と同じ月の石が、ここにある。