夢洲日和 · Story 01「そんなに行きたくなかった」

帰り道

2025年7月、大阪のれんめぐり〜夢洲駅

「大阪のれんめぐり」は、西ゲート側にあるフードエリアだった。

テントと屋台が並ぶ、それなりの規模の空間だ。たこ家道頓堀くくる、大阪新世界元祖串カツだるま——見覚えのある店の名前が並んでいた。

「道頓堀で食べるのと何が違うんやろ」と健二は思ったが、空腹だったので何も言わなかった。

たこ焼き(ソース)を七百円で注文した。一皿六個。さくらが「熱い!」と言いながら口を抑えた。健二も一個食べた。

ちゃんと美味しかった。

串カツは五本セットで頼んだ。ソースの二度漬け禁止の看板を見て、さくらが「なんで禁止なの?」と聞いてきた。「みんなで使うから」と説明すると「じゃあ自分のソースなら二回つけてええの?」と返ってきた。健二は「まあそやな」と答えた。

*  *  *

食べ終わって、大阪のれんめぐりの隣にあるEXPOオフィシャルショップに寄った。

さくらが「ミャクミャクのぬいぐるみ!」と言って、ショーケースの前から動かなかった。サイズはSとMとBCがある。さくらはMのサンリオコラボ版(5,280円)を指さした。健二は一瞬ひるんだが、「ええで」と言った。

「やった!」

さくらがぬいぐるみを抱きかかえた。

*  *  *

夢洲駅のホームで電車を待ちながら、健二は今日一日を頭の中で整理した。入場料は三人で16,800円(大人7,500円×2、子ども1,800円)。たこ焼き七百円。串カツ五本千三百円。ミャクミャクのぬいぐるみ五千二百八十円。ランチ込みで合計三万円近くか。

「また来たいな」

由美が言った。

「……また来てもええな」

健二はそう答えた。

電車が来た。さくらがミャクミャクを窓に当てた。外の景色が流れていった。七月の空は、まだ明るかった。

― Story 01 · 了 ―