イタリア館の前を通りかかったのは、午後3時を過ぎた頃だった。
待ち時間の表示を見た。
「140分……」
「2時間20分」と悠が換算した。
「ミケランジェロが見たい、とは思うんだけど」と彩が言った。「でも2時間20分は……」
「閉場まで何時間ある?」
「あと5時間くらい。でもNTTパビリオンも行ってないし」
「NTT諦めてイタリア並ぶ?」
「んー」
彩はしばらく考えた。「ミケランジェロは日本ではここでしか見られないかもしれないけど、でも今日は無理かな。また来ればいいか」
「また来る気あんの?」
「ある。たぶん」
「じゃあ諦めよう」
* * *
ガンダムパビリオンの外には、実物大のガンダムが立っていた。
高さ17メートル。
悠は足が止まった。
「でかい」と言った。子どもの頃に作ったプラモデルの、百倍くらいの大きさが目の前にあった。「RX-78-2」だ、と悠は思った。お台場のガンダムは何度か見たことがあったが、万博のは雰囲気が違った。
「悠、ガンダム好きなんだっけ」と彩が聞いた。
「小学生のとき作ってた、HGUCのやつ」
「今も?」
「今は積みプラになってる」
彩はスマートフォンでガンダムを撮った。「このガンダムの写真って絶対インスタ映えするよね」
「内側に入らないでも撮れるから、外からだと並ばなくていいのが助かる」
「中は予約できなかったの?」
「ガンダム方式で午後の枠を朝9時に狙ったんだけど、すでに埋まってた」
「ガンダム方式」と彩が笑った。「ガンダムっぽい名前だ」