歴史ノワール · 全5話
占領下奇譚
昭和二十三年〜二十四年、GHQ占領下の東京
真実を知っていた。だから、何も言えなかった。
帝銀、下山、三鷹、松川——
戦後日本の闇が、一人の男の沈黙に凝縮される。
Episodes
Episode 01
帝銀の毒
昭和二十三年一月〜九月
帝国銀行椎名町支店で十六人が毒を飲まされた夜、 神崎修二は真相へと続く糸を手にした。 しかしその糸は、決して引いてはならないものだった。
Episode 02赤い春
昭和二十四年三月〜六月
レッドパージの嵐が吹き始めた東京で、 神崎は国鉄労働組合の内部へと潜り込む。 「赤を狩る」道具として使われていると気づいたとき、すでに遅かった。
Episode 03轟音の七月
昭和二十四年六月〜七月
国鉄総裁・江川英太郎が失踪した。常磐線の線路に遺体が発見される。事故か、自殺か、他殺か。神崎修二は「ひとりで来られる場所ではない」と確信しながら、報告書に「異常なし」と書いた。
Episode 04無人列車
昭和二十四年七月〜八月
三鷹駅の夜。無人の電車が走り、六人が死んだ。逮捕された男を、神崎は知っていた。「三浦は関係ない」——しかし杉田は言った。「もう決まったことだ」。
Episode 05松川の犬釘
昭和二十四年八月〜秋
最終話。松川で列車が転覆し、丹羽庄司が逮捕された。神崎は独自に福島へ向かい、証拠の痕跡を追う。しかし杉田がトランクに証拠を積む場面で、神崎は何も言えなかった。